『エアライン解説』飛行機オタクが実際に働いてみた。

コックピットに乗ってみたかったので、実際に就職したオタクの物語。

また1つエアラインを知りました。-人と環境を繋ぐことー

 

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すでにご存知の通り、COVID-19の影響で航空業界は大打撃を受けています。

タイ国際航空・アビアンカ・ラタム・ヴァージンオーストラリアといった大手航空会社からFlybeなどのLCCまで経営破綻に追いやられていました。

私は子供の頃から飛行機に憧れて、航空業界で仕事をしていますが、このコロナ渦を経て、また1つエアラインを知りました。

 

現状

お給料は3割ほど減りました。まだいいほうだと思っています。知り合いの客室乗務員は5割減、または解雇となりました。ハンドリング会社の方たちはさらに厳しいと聞いています。一方で今後の運航再開に向けて、当然訓練や点検などは継続しなくてはいけませんし、コロナウイルスの対策をしなくてはならないので、業務量は変わらないか、やや増えました。

お給料は減っているのに仕事は変わらないのはなかなかつらいものがあります。それでも仕事をなくした人もいると思えば、まだ幸運なんだって思うようにしてます。

とはいえ3割も減ればそこそこ生活はきつくなるわけで、どうにか食いつないでいる日々です。

 

叩き落されたような気分

以前にも航空業界が大ダメージを受けたことがあります。

それは2001年の9.11同時多発テロです。

9.11の時もテロによる恐怖で、人が飛行機に乗らなくなってしまいました。それを払拭するためにこれまで世界中のエアラインが安全を堅持・推進してきました。

そういった不安が消え、やっと、飛行機が人々の日常に溶け込んできて、物理的にも人と人の距離に変化が起ころうとしているときに、今度はウイルス。

先人たちの積み重ねを私たちの世代が引き継いで、さらなら発展を目指そうとしている時に、振出しに戻ったというか地面に叩き落されたような気分になっています。

 

人と環境を繋ぐこと

エアラインは外的要因に弱いと言われていますが、今までは単に旅客数の減少による収益の減少が理由だと思っていました。事件・事故で人が乗らなくなると、高価な航空機を使用するためローンが支払えなくなるため経営難に陥ってしまうのだろうと考えていたのです。
ただ実際に渦中にいる中で、この「外的要因に弱い」というのは、本質的には「人と環境を繋ぐ」ことが難しいのだと気が付きました。
人には肉体があり感情があります。そこに飛行機という道具を使うことで、1万メートルに達する高度を飛行し短時間で目的地に到達させ、その対価を得るのがエアラインのビジネスです。そういった特殊な環境に対して人を親和させることが難しいのです。上空の機内の環境は、生物としての人にとって、どのような環境なのか考えると、
 
1.逃げることができない
→危険に対して行動できない。
2.視界が固定されている
→危険を視認することができない
3.音が聞こえない
→危険を聞くことができない
 
などなど、生存本能を他人に委ねなければならない環境は生物としてみれば異常な環境です。
そのためエアラインは、ある種、「安全」を商品の一つとして堅持しつつそのアピールをすることで感情的な安心を提供してきたし、一方で機内エンターテイメントや機内食を提供することで、肉体の意識を逸らしながら、人と環境の親和を図ってきました。
そうすることで初めて人々が飛行機を利用し、高価な飛行機のローンを支払うことのできるビジネスモデルが成り立つのです。
 

ウイルスと人を繋ぐ

そして今回はウイルスという要因が顕著となり、人々の中にウイルスがどのような環境にも存在しえるという意識が芽生えました。つまりエアラインはウイルスと人を繋げなければいけなくなったのです。

www.aviationwire.jp

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例えば記事のように消毒をしたり、HEPAフィルターの紹介をすることで肉体的な安全性や感情的な安心を提供しようとしています。

とはいうものの、COVID-19の場合、一番の懸念は「感染させてしまったら・感染させられたら」ではないでしょうか。

とはいえ、それを解消する手段は?ワクチンができれば以前のように戻るの?

そうもいかないでしょう。

今後エアラインはこの人と環境を繋ぐということにより注力していく必要があるのかもしれないと感じています。

  

就活生に向けて

JAL/ANAなど各社で21年度の就職活動を中断したと報じられており、航空業界を目指していた方々にとっては、非常につらい連絡だったと思います。

私としては是非再開とともにまた航空業界を目指してほしいと思う次第ですが、今皆さんが置かれている状況は今後も十分にあり得る事態です。

外的要因のリスクは働いていると想像以上です。

私は就職前に知ることが出来なかった世界ですが、皆さんはそれを目の当たりにしていることを逆に強みだと思って、その上で将来の航空業界を担っていってほしいです。